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2024年7月4日
那覇にある自宅の周りは学校が多く、「文教地区」と言えるエリアなのだが、歩道がすごく狭く歩きづらい。以前この付近の歩道を毎日白杖を頼りに歩いている老人がいたが、とても歩き難そうで見ていられなかった。何故なら狭い歩道を塞ぐように、至る所に電柱が地中から生えており、人がすれ違うこともままならない所も多いからだ。事実すれ違う時は一方が車道に回避しないとすれ違えない。
沖縄は言わずと知れた観光立県だが、自然の浜は少なくなり、護岸し、人工ビーチを作り、堤防を作り、基地を作り、箱モノを作り、空を見上げれば電線が空を覆っている。これでいいのだろうか。いったい日本人の美意識はどこに行ってしまったんだろうか。「開発」や「地域活性」の大義名分のもと、将来に残す遺産は全て人工物にするつもりなのだろうか。
確かに電線の地中化は難しいと思う。確率は少なくなるが、仮に断線が起きれば断線箇所の特定には時間を要するし、工事も難しくなる。しかしそろそろライフラインの抜本的な改革が必要ではないだろうか。水道、ガス、電気、電話線など全てのライフラインを一元化し、チューブ構造の管路を歩道に設ければ、交通規制も限定的で工事もさほど難しくない。現代はAI技術によって場所の特定もさほど難しくないはずだ。それよりもメリットの方が圧倒的に大きい。台風の多い沖縄では台風の度にどこかしらが停電の被害に遭っているし、電柱が倒れたり傾いたりもする。電柱に衝突する交通事故も少なくないし、狭い歩道の原因にもなっている。何にしても見難い景観を何とかしなければならない。電柱のイメージは戦後昭和の下町だ。
日本全体の電柱の数は何と3500万本以上で、少なくなるどころか、年間7万本ずつ増えているらしい。電柱の方が簡単に電気を展開でき、コスト的にも地中化の半分以下で済むのは分かる。しかしロンドンやパリの無電柱化は既に100%、シンガポールや台北は90%以上完了している。これらの都市や国に行くと、「日本より綺麗」と思うのは、電柱がないからだ。
日本は東京23区で10%以下、大阪が6%程度と全く比較にならない。沖縄については1.6%だ。外国人が「日本は綺麗」というリップサービスを鵜呑みにして、面倒臭いことを後回しにした結果が、戦後のうら淋しい景観が令和の今も続いているという事実。スマホの画面ばかり見ていないで、空を見上げて欲しい。電柱が美しい空を遮っているはずだ。日本人の美意識は結局都合の悪いところでは全く生かされていないのだ。LRTや新スタジアム、新市民会館もいいが、面倒な課題に対してこそ、さらなるペースアップをして取り組んでみようではありませんか。
(沖縄県もこのように取り組んではいます)