前回は農畜産物、コメの関税についてお話ししました。
では、革靴の関税はどうでしょう?革靴の関税は、およそ30%となっています。
例えば1万円でイタリアから仕入れてきても、税関に3,000円納付しなければ日本に輸入することは出来ません。ファッション製品で一番高い関税率は革靴です。それでは全ての輸入者は革靴に30%の関税を払っているのでしょうか?
答えはノーです。各輸入者の実績に応じて関税が軽減される関税割当という制度があります。どの輸入者も安く仕入れるために、関税割当の枠数を増やすことに躍起になっています。私も経産省に毎年申請に行っていました。但し、貴方が今年から革靴の輸入を始めるとすれば、多くの割当はもらえないでしょう。年々実績を積み上げていくことで枠数を増やしていくことが出来ます。前述の農産品などはどうなのでしょうか。酪農製品や加工食品にも関税割当制度があり、多くの品目をカバーしています。
関税割当以外にも関税を軽減、免除する制度は数多くあります。自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)がそれです。
特定の国や国々との貿易に関して関税を減免することで、それらの国間との貿易を振興するための制度です。有名なTPPも同じ目的です。TPPを利用すれば、コメの関税もキロ当たり49円で輸入することができます。一方で日本のモノに対してTPP加盟国がより安い関税を設定することで、輸出の振興を図ります。
つまり、関税とはバーター契約そのものです。「私がこのモノを貴方の国でたくさん売りたいから、貴方の国の関税を下げて。その代わり私も貴方の国から輸入するモノに掛かる関税を下げるから。」というものです。時には政治の駆け引きに利用されたりもします。トランプさんが、よく中国に対して叫んでましたよね。
ところで、免税店というものがあります。免税という言葉通り、税金が免除されるのは想像に難くありませんが、何の税金が免除されているのかは関係者以外あまり知られていません。国際線ターミナルの出国検査を通過すると、いわゆるクリーンエリアに免税店が建ち並んでいますよね。海外旅行に行くときの楽しみのひとつで、さっそく買い物することもあるでしょう。これが普通の人が持っている免税店のイメージです。ところが、沖縄には国内旅行客を対象にした免税店があるのです。DFSがそれです。
沖縄振興特別措置法第26条と関税暫定措置法第14条を根拠法令とした、沖縄型免税店という制度ですが、これはまた別の機会に説明いたします。
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