前回は長さが異なるコンテナについて説明しましたが、今回は機能別のコンテナの種類をみていきましょう。
機能別コンテナの種類
ドライコンテナ(Dry Container)
最も普及し、多種類の一般貨物輸送に使用されるコンテナはドライコンテナと呼ばれます。 工業製品や日用品などをはじめ、常温管理でよい貨物を輸送するためのコンテナです。 材質は丈夫なコルゲート状のスチール製、床面は合板で、コンテナ内部の風雨密性を保持できる構造となっています。しかし、ドライコンテナは集中荷重に弱く、また、貨物を固定するためのラッシングポイントが少ないコンテナなので、重量物を取り扱う際には慎重に検討する必要があります。
リーファーコンテナ(Reefer Container)
リーファーコンテナとは温度管理が出来るコンテナのことで、冷凍機が内蔵され、コンテナ内部に断熱材が取り付けられており床部にはレールが取り付けられているため、ドライ・コンテナと比較して内寸が一回り小さく、内容量及び最大積荷重量が若干小さいです。 サイズとしてはドライ・コンテナ同様20’・40’の2種類が標準です。
リーファー20ft 内寸 幅約2.2m×長さ約5.4m×高さ約2.2m リーファー40ft 内寸 幅約2.3m×長さ約11.6m×高さ約2.5m
冷凍機ユニットにもよりますが、一般的にマイナス25℃からプラス25℃までの温度調節が可能なコンテナです。電力はモーターやターミナル、積載時には船によって供給されます。冷・暖空気は、底部からコンテナに入るダクトを介してコンテナ内部に供給され積荷の下部、上部、そして全体を流れて循環します。この循環は装置が作動している間、継続的に行われます。また、各冷凍ユニットには調節可能な換気孔があります。青果物の放出する熱と二酸化炭素が腐敗を進行させますが、通気孔はそうした空気と温度をコンテナ外に排出させます。こうして換気孔からコンテナ内の二酸化炭素の蓄積を避け、新鮮な空気循環を可能にする設定もあります。 高度な冷凍コンテナはコンピュータ化されており、高精度の温度制御が可能で、品質維持が肝要な貨物の輸送が容易となりました。
温度管理に敏感な生鮮食品、薬品、高温での劣化の恐れがある美術品やフィルム、厳密な温度管理が必要とされる精密機械などの輸送に多く使用されています。
リーファーコンテナCAタイプ(Controlled Atmosphere)
酸素や二酸化炭素濃度まで管理でき、庫内の酸素や二酸化炭素の濃度を調整することにより生鮮品の呼吸量を抑え、鮮度の低下を抑えます。ものによっては窒素を庫内へ送り込み酸素濃度を抑えるものもあります。このコンテナのメリットは、生鮮品の熟成や劣化等を遅らせることができ、貯蔵寿命期間を延ばすことができます。
呼吸量が多いアボカドなどといった果物の輸送に多く使用されています。
オープン・トップ・コンテナ(Open Top Container)
天井がなく、代わりに、ロープで固定できる取り外し可能な耐候性防水シートで覆われているコンテナです。屋根部分を開放することによって、上部からの荷役を可能にしており、ドアの上にある金属製の梁は、左か右に寄せて開閉でき、また、コンテナから取り外すことも可能です。コンテナの内側にあるラッシングリングは、移動中のコンテナ内の貨物を固定するために使用されます。
このタイプのコンテナは、高さや長さが規格外の荷物に適しています。
フラット・ラック・コンテナ(Flat Rack Container)
大型貨物を対象とし、屋根部分、両側面、扉面を持たず左右および上方から荷役が可能な構造となっています。本船での積み付け場所が限られ、両側にコンテナが置けないなどの制約が出るため、割増運賃が適用されるので注意が必要です。フラットラックには折り畳み式のエンドフレームがあります。ストラップやチェーンを使用して貨物を安全にするために、ボトムサイドレール、コーナーポスト、フロアのラッシングリングの使用が可能です。
フラット・ベッド・コンテナ(Flat Bed Container)
フラット・ラック・コンテナ同様、通常コンテナ詰めのできない大型貨物を対象とし、上部構造物をいっさい持たない。床面だけの構造になったコンテナで、機械類、鋼材等重量物を運搬するのに使用されます。貨物を積載していない時はコンパクトに段積みする事が出来ます。
パイプや機械などの重さのある貨物、高さのある貨物、幅の広い貨物によく使われます。
タンク・コンテナ(Tank Container)
主に液体貨物を輸送するためのコンテナ。鋼製フレーム内にタンクを格納した構造となっている。最大26KLまで輸送可能で鋼製フレーム内にタンクを格納した構造となっている。
モルト(原酒)、醤油、食料品、液体化学薬品などの液体貨物が対象です。
コンテナの種類のご紹介をしてきましたが、注意しなければならないのは、デバンやバンニングを行う施設の搬入口がそのコンテナの寸法に適合しているかを確認することです。特に高さですが、外部の運送業者を利用する場合、
ドライバーが地上高を把握しておらず天井を破壊する、という事故も見られますので運送業者と情報を十分に共有することが大切です。
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