沖縄もようやく日々発表される感染者数が少なくなり、冬場のリバウンドに警戒しつつも日常の生活が戻りつつある。
観光客も徐々に戻り始め、物販店や飲食店からも安堵の声が聞こえたりする。インバウンド観光客が戻るのはまだ先だろうが、10数年前は那覇に乗り入れる国際線が1日5~6便、入国者数も年間20万人にも満たなかったことを考えれば今が正常なのかとも思う。
中国人をターゲットにした土産物店やドラッグストアが雨後の筍のように増えたのはもう過去の話で、これからは沖縄も国内観光客にさらに焦点を当てて施策を練っている関係者が多いと思う。
ところで沖縄には来年の3月末で失効する「沖縄振興特別措置法」という優遇措置がある。その後に向けて税制改正の調整も山場を迎えていることだろう。
気になるのは「沖縄型特定免税店制度」がどうなるかだ。もちろん沖縄の観光の目玉として制定されたこの制度は間違いなく維持されるだろう。
「沖縄型特定免税店制度」とは「沖縄振興特別措置法第26条」にあるように、国内にありながら沖縄への入域者に関税を免除して輸入品を販売できる、というものだが、不思議なのはこのようなスペシャルな優遇制度を活かして営業している免税店が1社しかないという事実だ。
同じような制度で韓国国内旅行客を集めるチェジュ島にはロッテや新羅など複数の免税店がある。中国の海南島には空港外にも7店舗の大型免税店があり、さらにオンラインストアも充実していて、海南島に一度観光に来れば半年間は帰った後も利用できるというシステムだ。
日本は正直遅れていると思う。「沖縄型特定免税店制度」が出来た直後は済州島や海南島から関係者が頻繁に視察に来て感心していたものだが、すぐに自国に同じような制度を作ってしまった。それが今では完全に追い抜かれたカタチだ。
沖縄で1社しかこの制度を活かしていない、というのはその1社が圧倒的な力と魅力で他の追随を許さない、ということもあるだろう。
しかし制度自体に大きな問題があるように思う。例えば免税限度額の20万円だが、「1店舗で20万円」ではないため、複数店舗で免税品を購入すると合算して合計購入額を算出する必要がある。
しかしもし複数社が沖縄型免税店を展開したらどうだろう。
民間各社が購入者の記録を持ち寄って合算して課税額を算出しなければならない理屈だが、個人情報を民間同士で共有するなんてあり得ないし、誰が申告して誰が納付するのかという問題もある。
結局この制度は複数社が参入するなんてことは全く考えられていない欠陥制度なのだ。
もちろん制度に問題があっても、それを活用して沖縄の観光に貢献している免税店や、ショッピングを楽しむ観光客には何の落ち度もない。
ただ、沖縄を「免税ショッピングパラダイス」にするためには、最大限にこの制度を利用できるようなしくみが必要ではないか。
まだまだ練って作りこんでいかなければならない制度だと思う。
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