沖縄を初めとして在日米軍が駐留している地域の通関業者では、サンパーマル通関、サンパーイチ通関はお馴染みではないでしょうか。
在日米軍に関係する貨物を輸出入する際には、免税物品輸出入申告と軍納物品輸出入申告を行うのですが、申告様式がUSFJ 380とUSFJ 381なのでそれぞれ380「サンパーマル」、381「サンパーイチ」と言ったりします。在日米軍には日米地位協定によって様々な特例が認められています。
通関手続きについても、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律」、通称「地位協定特例法」によって、通関手続きに関する特例的な扱いが定められています。380も381も輸入関税が免税となります。また、消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、石油ガス税、および石油石炭税も免除されます。
380通関は、特例法第 6条第1号、2号、4号、5号に掲げられている貨物、簡単に言えば、米軍、軍人やその家族、米軍の公認調達機関といった者が貨物を輸出入する際に使用するものです。
381通関は、特例法第6条第3号に掲げられている貨物、簡単に言えば、米軍関係者以外の者が、米軍専用に供するために輸入するとして米軍の官憲によって証明されたものです。
380通関については、米軍が使う武器や兵器だけが対象になっているわけではありません。
上記4号で「合衆国軍隊の構成員、軍属若しくはこれらの者の家族又は契約者等の引越荷物及び携帯品」、上記5号「合衆国軍隊の構成員若しくは軍属が自己若しくはその家族の私用に供するため又は契約者等が自己の私用に供するために輸入する自動車(自動自転車を含む。)及びその部品」が対象になっています。
武器や兵器といった軍事機密に属する物品、具体的には特例法第9条に定められる貨物については、関税法第67条の規定による検査は行われないことになっています。
具体的には下の通りです。(号数は、特例法第9条のもの)
1号:合衆国軍隊の命令により日本国に入国し、又は日本国から出国する合衆国軍隊の部隊の携行品
2号:合衆国軍隊の公用の封印がある公文書
3号:合衆国政府の船荷証券により船積されている合衆国軍隊に仕向けられた軍事貨物
※これ以外に、4号として合衆国軍事郵便局で送達されるものの規定もあります。
上述のフォームのうち、USFJ 380を見ていただければわかりますが、貨物内容の申告欄にも「Not Required for US Military Cargo 軍事貨物の場合は不要」という記載があります。
これも各フォームを見ていただければわかりますが、380通関、381通関、いずれについても認証官(AUTHENTICATING OFFICER)のサインが入っているもののみが有効です。
また、この特例法の適用を受けて輸入された物品については、譲渡や譲受に制限があります。
もちろん日米地位協定は380/381通関だけを認めるものではありません。
様々な特権を米軍に対して与えています。
2条 日本全土で基地の使用が認められる。自衛隊基地の使用も
3条 提供された基地の排他的管理権を有し、自由に出入りできる
4条 基地の返還の際、米側は原状回復・補償の義務を負わない
5条 民間空港・港湾、高速道路に出入りできる。利用料は免除
6条 航空管制の優先権を与える
7条 日本政府の公共事業、役務を優先的に利用できる
9条 旅券なしで出入国できる
10条 日本の運転免許証なしで運転できる
11条 関税・税関検査を免除
12条 物品税、通行税、揮発油税、電気ガス税を免除
日本が基地従業員の調達を肩代わり
17条 「公務中」の事件・事故で第1次裁判権を有する
18条 被害者の補償は「公務中」で75%支払、「公務外」は示談
沖縄に住んでいると米兵による犯罪が明るみになった時に、その不条理さに怒りを覚えることが多々あります。
ロシアが一方的にウクライナに侵攻をしてもアメリカは軍を動かしませんでした。
考えたくありませんが、他国が日本に攻め込んできたときに米軍は動くのでしょうか。
もし動かないのであればもはや日本に、沖縄に米軍基地は必要ないかも知れません。
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