今回はインコタームズのCグループについてご説明いたします。
CグループにはCFRやCIFがあり、FOBと並んで最も多く使われるグループだと思います。他にもCPTとCIPがあり、全部で4パターンとなっています。誤解が多いのは、FCLやLCLの場合でもCFRやCIFを用いている例が多いのですが、これらは正確にはCPTやCIPを用いるべきです。現代のコンテナ船の普及によって、CFRやCIFからCPTやCIPにインコタームズも変化しているのです。
CFR
CFRはCost and Freightの略称で、日本語では運賃込条件と呼ばれます。かつてはC&Fと呼ばれていたので、ベテランは今でもC&Fと呼ぶ人が少なくありません。しかしInco-Terms2010以降、C&FはCFRに変わっています。(実際には1990年代から変わっています) C&Fでも意味は通じると思いますが、最近ではCFRが十分浸透していますので契約書などの表記には注意しましょう。
CFRは文字通り輸出者が運賃を負担する件です。貨物の引き渡し場所と危険移転は輸出港に停泊する在来船の甲板上に貨物が接地した時点です。(正確には欄干を超えた時点) すなわちFOBと同様に貨物が甲板の上に置かれた時点で買主に移行します。FOB条件に輸出者の運賃負担が加わったと解釈していいでしょう。
CIF
CIFはCost,Insuramce and Freightの略で運賃・保険料込みの意味です。貨物が在来船に積まれた段階で輸出者から輸入者へリスク負担が移転するのはCFRと同じですが、費用に関しては、輸出者は輸入国までの運送費用だけでなく、保険料も負担することになります。すなわちCFRに輸出者による保険料の支払いが加わった以外は全く同じ条件となります。注意しなければならないのは、危険負担は輸出国で貨物が在来船に搭載された時点にも関わらず、保険料は輸出者が負担する点です。もし輸送中に事故があった場合は、輸入者がその保険会社と求償手続きをしなければならないケースもあることに注意して下さい。
CPT
CPTは、Carriage Paid toの略で運送費込みという条件です。輸出者が貨物を運送会社に引き渡した時点で輸出者から輸入者にリスク負担が移転します。ただし、運送費用は輸出者が輸入国まで負担します。CPTは元来FCAと同様コンテナ船のために作られた条件ですので、運送会社に引き渡すということは、運送人が手配した陸上運送会社がCYやCFSに貨物を持ち込んだ段階で、リスクの移転が行われます。CFRが在来船への積載を対象としているのに対して、CPTはコンテナ船や航空機による輸送に用いられます。
CIP
CIPはCarriage and Insurance Paid toの略で、運送費・保険料込みという条件です。輸出者が手配した運送会社が貨物をCYやCFSに持ち込んだ段階で輸入者にリスク負担が移転します。これは、CPTと同じです。CPTとの違いは輸出者の費用負担に保険料が追加されるだけです。CIFが在来船のための条件に対し、CIPはコンテナ船や空輸のための条件になります。
Cグループでは、リスク負担と費用負担のタイミングが一致しておらず、別々の時点で輸出者から輸入者に移転することになっています。また、CグループにもFCLとLCL向け、在来船向けの条件がありますので、従来からの慣習にとらわれず、もう一度インコタームズに即しているか見直してみて下さい。
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