小ロットの貨物や急を要する貨物、或いは高額品の輸送には航空便を利用します。すなわち航空貨物となるのですが、航空貨物の輸送は大別して2種類の手段、貨物便か旅客便が用いられます。貨物便は「貨物専用機」(Freighter)に搭載し、旅客便は旅客機(Passenger Flight)の貨物室に搭載します。それぞれ(カーゴ)フレイター便、ベリー便と呼ばれることもあります。コロナを機に世界的にフレイター、ベリー便ともに減便が著しく、経路とスペースの確保に悩まされている貿易担当者も多いと思います。
特に沖縄はコロナ前には公的事業である「沖縄アジアゲートウェイ構想」や「沖縄ハブ活用事業」として、那覇空港をアジアのハブ空港にするべく全日空が日本各地とアジア主要都市を結ぶフレイターを深夜時間帯に運行していましたが、コロナ渦初期から全便が休航となり再開の目途が立っていません。そのため、那覇への航空貨物は100%ベリー便となっており、タイトなスペースがさらにタイトになり、積み残しで納期が遅れたりする場合も珍しくないと思います。
航空貨物は荷室に搭載するために、ULD(Unit Loading Devices)に積み付けられます。従ってそのULDのサイズと、航空機の搭載DOOR、荷室の高さが、貨物搭載の可否を決めることになります。
ULDの種類は多岐にわたりますが、旅客機の下面や貨物機の床面にある緊締装置に直接固定できるエアクラフトULDと、緊締装置に適合しない(直接固定できない)ノンエアクラフトULDがあり、ノンエアクラフトULDを航空機に搭載する際にはエアクラフトULDに積み付けて固定する必要があります。これに対応する専用のパレットは、厚さ5mmのアルミニウム合金製の平板で88 in × 125 in (2.2 m × 3.2 m)大が標準規格ですが、重量貨物用にさらに大きなサイズも存在します。貨物をパレタイズする際には安全のためネットを掛け、更に盗難・雨濡れの予防のためにビニールシートを被せる場合が多く、パレットのサイズに合わせた金属製や樹脂製のカバーも使用されることがあります。
航空貨物用コンテナはパレットよりも多様な形状の貨物のユニット化や貨物の保護に適しており、機体の形状に合わせた台形となっています。基本的なULDのサイズは96インチ(96inch/243cm Pallet ULD)と88インチ(88inch/223cm Pallet ULD)の2種類がスタンダードです。通常これらのULDを基準として搭載の可否、運賃等が決定されます。また、航空機に搭載する底辺が決まっているのと同じく、高さについても制限が有り、航空機の搭載口の大きさ、搭載する位置で決まっています。目安として、高さ160cmを超える場合は、旅客便ではなく、貨物専用機のサイズとなるため、ベリー便の場合、航空会社に引き渡すサイズは155cm程度が限界と考えて下さい。
貨物専用機に関しては、その機内の特性上、搭載場所によりMain deck / Lower deckに分けられます。Main Deckは、旅客機の旅客が座る場所がそのまま貨物専用スペースとして運用されています。 航空機の上部は「かまぼこ」状になっていて、その両端がかけている状態のまま貨物を搭載するため、必然的にその両端分の高さが制限されます。Lower Deckは、航空機の下部、旅客機であれば旅客が座るシートの下にあります。 丸い胴体の航空機ですので、Main Deck同様、両端が削れています。標準サイズ旅客便の床下に搭載出来ない場合、運賃・行程に制約が加わることがあります。
航空貨物受託に当たっては、大きさのほかに貨物重量に制限が有ります。通常貨物重量は航空機への搭載の場所によって細かく分けられます。一般的には、下記の重量がULD当たりの目安になります。これは航空機の機種、仕様により決まっています。
およその目安は以下の通りです。
Lower Deck=大体1500.0~1800.0kgs(96/88inc)
Main Deck=大体2000.0~3000.0kgs(96/88inc)
1pkg当りの貨物重量に対する制限(搭載に関して準備が必要となるケース)ですが、航空機に搭載する場合には、底辺(接地面積)の面積当たりの最大重量が定められています。これを「床面制限重量」と言います。これは航空機の機種によって決まっています。
B-747の場合はおおよそ次の通りです。
Lower Deck・Main Deck=約970KGS/M2
Main Deck=約1950KGS/M2(特殊)
さらに、ULD内での積み付けでは1Package当りの貨物重量によっては、貨物がULD内で移動しないようにタイダウン(しっかりと固定)する必要があります。1100kgs以上の貨物には注意が必要です。
近年、航空機の性能が向上するとともに、新機種の開発、オリジナル航空機のグレード・アップなど、貨物輸送に使用する航空機の種類も多種多様化しています。航空会社が運航する航空機の最大の使命は安全運航にあります。航空機事故は、その被害が大きいことから安全を阻害する要因が少しでも可能性のあるものに関しては、航空会社はその時点で搭載作業の一切を止めてしまいます。貨物輸送においても、実際の搭載までに様々なチェックや検査が行われ、安全を確認した上で輸送されています。航空貨物に関するお問い合わせは、ロジスティーダジャパンまでご連絡ください。
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