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リアルタイム口座について

リアルタイム口座とは、輸入時に税関が徴収する関税・消費税等を輸入者の銀行口座から自動引き落しするために、NACCSに予め登録しておく制度です。日本では通関業者が一旦輸入者に変わって納税して、後で輸入者に請求する立替習慣がまだ一部で残っており、事実上輸入者の延納となることが多くなっています。


昨今では通関業者やフォワーダーが輸入者に対して自らのリアルタイム口座を登録することを求めることが多くなっています。或いは通関業者と輸入者の間に第3者が立って、税金を立替払いするサービスも始まっているようです。当然ですが、このサービスは手数料が発生するので、輸入者は以前のように通関業者から「無利子」で一時的な「融資」(立替)を受けることが出来ません。しかしこのような悪しき習慣が当然のように何十年も続いてきたことの方が不思議です。輸入者のリアルタイム口座を通関業者が輸入申告時に使用することが出来れば、通関業者は無償での立替払いをする必要もなく、それに対する請求業務も消滅します。このような便利なシステムを使わない手はありません。



輸入頻度にもよりますが、「今までずっと立て替えでやってきたのだから」とリアルタイム口座の登録に二の足を踏む輸入者は、いずれ取引してくれる通関業者がなくなるかも知れません。そうあるべきだと自分も思っています。そもそも輸入時に発生する関税や消費税は輸入額によっては数十万円や数百万円になることも少なくありません。特に立替に関して契約を交わすこともないので、輸入者が倒産したりすると通関業者も共倒れになってしまいます。しばしば国会でもこの問題が取り上げられたりしましたが、特に打開策もないままリアルタイム口座の普及によって問題の解決が見られるようになりました。以前はリアルタイム口座に対応している金融機関が限られていたり、リアルタイム口座が使用できる営業時間に制限があったりしましたが、最近ではメンテナンス時間を除き終日対応可能なリアルタイム口座も多くなっています。

リアルタイム口座振替方式(ダイレクト方式)対応金融機関(NACCS掲示板より)

リアルタイム口座を始めるにはまず取引金融機関がリアルタイム口座に対応しているかを確認する必要があります。対応していなければ対応している金融機関に新たに口座を開設しましょう。そして金融機関に「預金口座振替依頼書」兼「自動払込利用申込書」を提出します。金融機関で手続きが終わったらNACCSで利用申し込みを行います。(予め税関から「税関コード」を取得する必要があります)


リアルタイム口座振替方式(ダイレクト方式)等申込み方法(NACCS掲示板より)

リアルタイム口座の利用にメリットがあるのは通関業者やフォワーダーだけではありません。輸入者にも多くのメリットがあります。

① 通関業者やフォワーダーとの取引が始めやすくなる。

特にクーリエサービスやデジタルフォワーダーと新規で取引を行う場合、リアルタイム口座があると顧客口座を作りやすくなります。この傾向はさらに強まっていくはずです。

② 担保の必要がない。

正月やGWなど金融機関が休業中に貨物を関税未納のまま引き取るためには、関税の納付を保障するためにその関税額に相当する担保(BP担保)を提供しなければならないため、一定の準備資金が必要になります。担保を提供する代わりに金融機関が保証を行う場合も多いのですが、この場合は手数料を金融機関に支払います。リアルタイム口座は一般の金融機関の営業日や営業時間とは異なり、365日24時間稼働しているものも多いため、担保や手数料の負担なくいつでも輸入許可が受けられます。時間的制約から解放されるのも大きなメリットです。

③ 手数料が無料

リアルタイム口座は既存や新規の銀行口座と同じですから、手数料は発生しません。

④ リアルタイム口座を持っていても、簡単に他の納付方法に切り替えられる。

常にリアルタイム口座を使用する必要はありません。都度切り替える必要もないと思いますが、納付書による現金納付や従来通り通関業者などが立替納付を行うことも可能です。


一方でデメリットも存在します。

① 口座管理が必要

リアルタイム口座が残高不足になると輸入許可が保留になります、そうならないよう常に十分な資金を口座に預金しておく必要があります。或いは銀行に口座に資金がなくなった場合、自動融資に切り替える方法もあります。詳しくは金融機関と相談してみて下さい。また通常の商取引と同じ口座を使用する場合、輸入税以外の受払いを混在してしまうため口座管理が複雑になる可能性があります。リアルタイム口座は他の商取引とは別の、専用の口座を設ける方が管理がし易い場合もあります。この辺は検討が必要です。

② 納付書が発行されない

通関業者が輸入者のリアルタイム口座を使用した場合、輸入許可書かリアルタイム口座振替完了通知情報で口座引き落としが行われたことが分かります。必要があれば通関業者からのリアルタイム口座振替完了通知方法を取得して下さい。

③ 納期限の延長が出来ない

納期限は申請が認められれば最長で3か月延納を行うことが可能です。この場合はリアルタイム口座が使用できません。キャッシュフローの観点で考えると有利とは言えませんが、延納には担保の提供が必要ですので、いずれにしても一定の資金は必要になります。私が貿易担当者だった時代は3か月の包括延長方式を採用していました。しかし担保の提供(現金や国債など)や、金融機関の保証が必要ですからいずれにしても一定の資金や手数料は必要です。この辺は経理とよく相談して月間の納付金額やキャッシュフローと金融資産とを天秤に掛ける必要があります。


いずれにしても今後は益々輸入者自身がリアルタイム口座を開設する必要が顕著になってくるでしょう。詳しくはロジスティーダジャパンまでお問合せ下さい。




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