慢性的なコンテナ不足に伴い、船社が提供するコンテナの質が落ちてきています。現在どの船社も日本向け航路にコンテナを貸したがらず、何とか手配出来てもCYでピックアップ出来ない事態も出ています。コンテナ不足は日本に限ったことではないのですが、稼働率の悪い日本向けでは特にその傾向が著しくなっています。その要因は複合的で複雑ですが、主に以下の通りです。
紅海危機による航路変更:紅海の代替航路(アフリカの喜望峰経由)が一般的になりつつあり、消費する燃料と輸送日数が増加しています。これにより、コンテナ運賃も上昇し、一部の海運会社は航路を変更しています。
日本と中国の航路でのCIC倍増:日本と中国の航路でのCICが倍増しており、これも不足の原因となっています。
日本国内の2024年問題:長時間の荷待ちによるコンテナの稼働率が低下し、日本向けコンテナの仕立に消極的な船社が増えています。
これらの要因から日本向けのコンテナ供給が不足している状況です。 そしてそのような中で、グレードCのコンテナを日本航路に使うケースが出てきています。老朽化し廃棄寸前のコンテナ、破損し修理されていないコンテナ、大破したものを応急処置しただけのコンテナを、「外洋航海に耐えうる品質」として提供され、且つCYが交換に応じないという状況が発生しています。積み地の輸出者も輸出しないことには商売にならないため、低グレードのコンテナとわかっていても港から引き取り、船積みを進めます。
コンテナ破損による雨水の漏水、貨物へのダメージが心配されますが、実際に弊社でも雨漏りによる水濡れの苦い経験をしています。中国からのコンテナでしたが、屋根に穴があいており、那覇CYやドレー中の雨により荷主様の雑貨の3分の1ほどに水濡れダメージが発生しました。この時は中国でのバンニング時に画像を記録しておらず、結局最初から穴が開いていたのか、輸送中に開いたのか責任が曖昧になり輸入者の損失になりました。
また、バンニング後の空コンテナ返却時にトラブルが頻発する可能性もあります。日本のCYは海外のコンテナ提供事情に関係なく、また積まれている貨物にかかわらず、破損・汚損したコンテナに対して修繕費用、清掃費用を要求します。この修繕費用や清掃費用の請求を避けるためには、積み地のコンテナ提供時にすでに破損・汚損していた事を、バンニング前に撮影したコンテナの画像で立証する必要があるのです。
これからもはじめから壊れている、汚れているグレードCのコンテナが日本向けに大量に出回ることが予想されます。コンテナ返却時のトラブルやシッパーへのクレーム、保険求償に備え、輸出者に対する積み込み前のコンテナ内部写真、積み込み中の写真、そしてコンテナの番号の写真撮影は不可欠です。契約時にバンニング前のコンテナの状態、バンニング状態、コンテナをクローズした状態の画像を残すことを要求するのを忘れないようにしましょう。もちろん日本での輸入時に同様に画像記録を行うことも大切です。
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