輸出および輸入貨物の一時保管・荷捌きを行う施設を上屋と呼びます。貨物の検品・仕分け・税関手続き・検査・保管を行うことを目的とした施設ですが、一般の「倉庫」とは区別されるために、倉庫ではなく上屋と業界では呼んでいます。根本的に異なるのは、上屋は港湾運送事業法、倉庫は倉庫業法が適用されます。上屋には民間業者が整備・運営するものと、港湾管理者が行う公共上屋があります。また、輸出入貨物を保税の状態で蔵置出来る上屋は、管轄の税関によって「保税地域」や「保税蔵置場」の許可を受けている必要があります。
「上屋」の語源は文字通り「上に屋根がある建物」から来ており、側面が開放されていることが多い建物を指します。構造的に屋根だけがあり、四方が完全には囲まれていない建物です。古くから物流や商業活動で使用される構造物を指しており、物品の保管や取り扱いを効率的に行うための施設の一つですが、もともと農作物や商品を雨や直射日光から守りながら保管するために使われていました。しかし現代において上屋には高いセキュリティや防湿や防塵の維持が求められます。屋根があるだけの「東屋」的な建屋はもはや非現実的と言えるでしょう。
大雑把な言い方ですが、港湾および空港における保税貨物の一時蔵置は上屋に、内貨の保管は倉庫に、という使い方になるのではないでしょうか。
ところで上屋の語源ですが、倉庫を意味する英語の「ウェアハウス」(Warehouse)から来ているという説もあります。ウェアハウス→ウエア→ウワヤ→上屋という感じでしょうか。今では上屋は英語でShed、倉庫をWarehouseというのですから面白いですね。
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