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WTOについて

hiroyuki kira

WTO(世界貿易機関 - World Trade Organization)は、国際貿易を円滑に進め、貿易の自由化を促進するために設立された国際的な機関です。1995年に創設され、現在では加盟国は160カ国以上にのぼります。WTOの主な目的は、国際貿易の障壁を減らし、貿易ルールを整備することで、各国の経済成長を促進し、公平かつ効率的な貿易環境を作ることです。

 

昭和世代にはWTOよりもGATT(関税と貿易に関する一般協定)の方が馴染み深いかもしれません。GATTは1947年に設立され、その後WTOが1995年に設立されるまで、国際貿易の主要な枠組みとして機能していました。

 

GATTの背景と目的

第二次世界大戦後、国際貿易の自由化を進め、世界経済の回復と発展を促進するために、国際的な貿易ルールが必要となり、これを受けて1947年にGATTが設立されました。GATTの主な目的は以下の通りです:

貿易の自由化:関税引き下げや貿易障壁の削減を進め、戦後の復興と経済発展を支える。

公平な貿易の促進:各国間で平等な貿易ルールを作り、貿易の不公平や不確実性を減少させる。

貿易に関する協力と調整:各国が協力して貿易を進め、問題解決の場を提供する。

 

GATTの原則

GATTは貿易における基本的なルールをいくつかの原則に基づいて定めました。主な原則は以下の通りです:

最恵国待遇(MFN:Most-Favored-Nation):ある国が他国に与えた貿易上の優遇措置は、すべてのGATT加盟国にも適用しなければならない。

内国民待遇(NT:National Treatment):輸入品が国内産品と同じように扱われるべきだという原則。

関税削減:GATTは定期的な交渉を通じて関税を引き下げ、貿易の自由化を進めてきました。

貿易の透明性:貿易政策は透明で予測可能でなければならない。

例外措置:発展途上国への特恵関税措置など、一定の状況下で貿易制限が認められています。

 

GATTの交渉ラウンド

GATTは、数回の交渉(ラウンド)を通じて貿易の自由化を進めてきました。主なラウンドは以下の通りです:

ウルグアイ・ラウンド(1986年~1994年):GATTの歴史の中で最も重要なラウンドで、WTOの設立に繋がりました。

ケネディ・ラウンド(1964年~1967年):アメリカ合衆国主導で関税削減が行われました。

東京・ラウンド(1973年~1979年):非関税障壁の削減が議論されました。

 

GATTからWTOへ

1995年に、GATTはWTOに取って代わられました。WTOはGATTを基盤にし、さらに広範な貿易ルールを提供する機関として設立されました。WTOは貿易自由化の原則を引き継ぎ、貿易紛争解決機能を強化し、より包括的な貿易協定を含む新しい体制を構築しました。GATTは単なる国際協定に過ぎませんでしたが、WTOは貿易ルールを管理する正式な機関として強制力を持つようになりました。

 

WTOの主な目的と機能

WTOは以下のような主な目的を持ち、機能しています:

貿易の自由化:関税引き下げや貿易制限の撤廃を進め、貿易をスムーズに行えるようにする。

貿易ルールの設定と監視:貿易ルールを定め、その遵守状況を監視し、予測可能な貿易環境を作る。

貿易紛争の解決:加盟国間で発生した貿易紛争を解決する仕組み(紛争解決機関)を提供。

技術的支援と開発支援:開発途上国への支援を行い、貿易に関する知識や能力を高める。

貿易政策の透明性の確保:加盟国は定期的に貿易政策について報告し、透明性を高めます。

 

WTOの基本原則

WTOは、以下の基本原則を定めています:

最恵国待遇(MFN):すべての加盟国が平等な条件で貿易を行うべきという原則。

内国民待遇(NT):輸入品を国内産品と同じように扱う原則。

予測可能性と透明性:貿易政策は予測可能で透明性があるべきという原則。

競争の促進:市場を開放し、効率的な競争を促進すること。

特殊・差別的待遇:発展途上国に対して特別な待遇を与えること。

 

WTOの組織構成

WTOは以下のような機関で構成されています:

閣僚会議:WTOの最高意思決定機関で、2年に1回開催されます。

一般理事会:閣僚会議の間に日常的な意思決定を行う機関。

委員会や専門機関:特定分野(農業、サービス、環境など)に関する議論を行う機関。

 

WTOに対する批判

国際協定の常ですが、WTOにも議論や批判があります。

先進国有利:WTOのルールが先進国に有利で、発展途上国に不利だという批判。

環境や労働問題への対応の遅れ:貿易自由化が進む中で、環境や労働者の権利が損なわれる懸念。

紛争解決システムの問題:紛争解決に時間がかかり、公平でないと感じられることがある。

 

WTOの存在意義の低下

最近では、WTOの存在意義が失われつつあるという意見もあります。理由は以下の通りです:

加盟国間の対立:経済的・政治的な差異が増え、合意形成が難しくなって状況。

ドーハ・ラウンドの停滞:2001年から続く交渉が進展せず、多国間交渉が機能不全となっている。

新しい貿易問題への対応遅れ:デジタル貿易や環境問題への対応が不十分。

保護主義の台頭:アメリカや中国の貿易戦争が、WTOの原則に反する大きな動きに拡大している。

紛争解決システムの機能不全:上級委員会の機能停止が信頼性を失っている。

地域的・二国間協定の台頭:TPPやUSMCAなど、WTOを介さない協定が増加している。

 

 

WTOの役割は依然として重要ですが、現代の複雑な貿易環境や各国間の思惑に適応するためには改革が必要だと広く認識されています。もしかするとGATTがWTOに変わったように、WTOもその変革の時期を迎えているのかも知れません。

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